七転三起

ナナコロビミオキ

【歌詞】ナタリー/可不(KAFU)

ナタリー(NATAREE)/可不

https://www.youtube.com/watch?v=YUCL2YPtkXg

Song:606(https://twitter.com/bumWings
Arrangement:G.Asai(https://www.nicovideo.jp/watch/sm25660608
Music Video:Mah(https://twitter.com/mah_hirano

※本来の「ナタリー」の表記は"Natalie"や"Nathalie"が一般的だが、源氏名として「Nataree」の綴りとなっている。


■歌詞

空は晴天、どこぞ郊外で
工場の端、おどろに鉄が飛ぶ
スモッグに塗れた格子の中で
虚ろな目で、汗を拭うんだ

ここは下の下!汚れに足漬け
眺める先はトタンの彼方
プレス機眺め、君の事想う
薄らとはにかんでまた、潰れる

ナタリー、僕だけの天使
張り付いた笑顔はやめて
誰からも愛されなかった僕の
びた一文まからない、ロマンス!

君が欲しかった!全て無くしても
異邦人だらけの赤線地帯
泥だらけの身体、裏に金魚鉢
腐った資本家に買われ削れてく
分からなかった!全て捧げても
猿共が集まる赤線地帯
ここに命ひとつ、転がるのは自棄の先
底へ落ちて、気づく
君も、僕も、誰も彼も、愚かなんだ

ここは下の下!汚れに足漬け
眺める先はガラスの彼方
右へ倣え、フットライト、光る素肌
MP!嗚呼、堕ちていく

ナタリー、僕だけの天使
抱く大志は逃避行
コンビナートに飲み込まれた僕の右手
文学じゃ、哲学じゃ、飯は食えない!

君が欲しかった!全て無くしても
異邦人だらけの赤線地帯
泥だらけの身体、裏に金魚鉢
腐った資本家に買われ削れてく
分からなかった!全て捧げても
後ろ髪引かれる赤線地帯
薄着のままに手を振り、三つ指
連れていかれ、気づく
細い腕にかかる手錠
ヤーバーとダイブ

君の事が分からなかった!全て捧げても
想い出ひとつすら守れない
泥だらけの身体、裏に金魚鉢
腐った資本家に買われ削れてく
僕が馬鹿だった!全て無くしても
君となら逃げれる、赤線地帯
もう一度だけ、僕の名前を呼んで
いつかの様、君に、捧ぐ
鉄の指輪
さよなら、ずっと忘れない

ここは下の下!汚れに足漬け
眺める先はトタンの彼方
プレス機眺め、君の事想う
薄らとはにかんでまた、潰れる
二度と出られないけれど、愛してる


■余計な情報

最悪のボーイ・ミーツ・ガール

2016年
目覚ましい勢いで発展していくバ//ク。
発展途上国と言われていたタイ王国も、中心市街は日本と変わらない物価となっている時期であった。

留学費を稼ぐため、マッサージパーラー(MP)で働くナタリー(Nataree)。
彼女の2つ年上である、華僑の息子のQuei、通称"阿Quei(アクイ)"は、チュラロンコン大学で本筋(仏教系の哲学)から離れて西洋哲学に傾倒していたものの、就職先がなくバンコク郊外の工場で働く事となった。
そして大学時代に出会ったナタリーと数年間恋人でもあった彼は、ナタリーがある事情でその仕事に就く事を止められずにいた。
思いの伝え方も不器用な彼は、気がつけばMPに入りびたり、金魚鉢の向こうからナタリーを連れ出す為に、彼女を金で買うようになる。

1回2,500฿(当時のレートでおよそ7,500円)

いち工員である彼はまともな方法で何度もその金を工面できるはずもなく、日本・神戸市で芸能事務所を営む半グレ集団と手を組み、ハシシ(大麻の樹脂)やヤーバーの密輸に手を染める。
空港の検査で捕まり終身刑となった彼は、刑務所の鉄格子の向こうから、彼女の夢の成就を願って、刑務作業で余った鉄で花を作った。
それを贈る事すらできないが、彼はこの先の人生、その薔薇を見て、彼女との想い出を反芻し、彼女の身を想うだけで生きていくしかない。
※のちに政権が変わり、恩赦で刑が30年に減刑された模様。
今もなお、ヤコブと名乗る元イスラエル人の弁護士を付け、引き続き減刑の嘆願中である。

クヮイ(Quei)25歳
通称「阿Quei」
チ//////大学
人文学科卒
国籍は中国(香港)
幼少期はチェ///、大学からは/ン//で過ごす。
母親は超のつく教育熱心で、父親はほとんど家に居なかった。
人間との関わり方が分からず、自分で自分と問答を続けている内に、哲学を深く学ぼうと思い立ち大学の人文学科に入学する。
食い扶持のために教師を目指していたが、哲学を修めたことでますます人間がわからなくなり挫折。
ヘーゲルに傾倒している(参考)。
だからこそ、彼を批判したキルケゴールが主張した様な幸福を逃した…という事に気づいていない(=頭でっかち)。
夢はナタリーと香港で暮らす事(だった)。
無期→懲役30年、服役中。

ナタリー(Nataree)22歳
本来の「ナタリー」の表記は"Natalie"や"Nathalie"が一般的だが、源氏名としてこの綴りとなっている。
//////ン大学4回生
在学中に父親が不敬罪で逮捕されてしまう。一家(母、祖母、弟2人)を養いながら、
自らの大学院への留学金を稼ぐため、理屈ばかりでうだつの上がらないQueiと別れて
/ン//のMPとテーメーカフェの二足の草鞋で働き出す。


■QueiからNatareeへの手紙

初めて刑務所に入った時
まるで昔一緒に見た”ミッドナイト・エクスプレス”のようだと思いました

教育熱心な母の「愛情に似たもの」が、僕には重たかったのです
それは本当に愛情だったか?もっと独善的な…

その倒錯した「愛情に似たもの」の籠もった遺伝子を私も引き継いでいるのでしょうか
身が焼かれる程に、君を抱く中国人・日本人や韓国人のような
金を持っただけの猿共が許せなかったのです
そのために金が必要だったのです
ただ、猿から退化した僕らにそもそも国の壁なんて関係のないことで
僕もまた、軽蔑する猿、あるいはそれよりもドロリとした存在に
成っていきました

いつからか、加えて「ヤーバーが無いと動けない」と思ったら
「ついでに金が要る、神戸のあいつに連絡すればいい」と
そう考えるようになりました
税関で捕まるまでは

僕は人間としては欠陥だらけだけれど
精神の中身は勝利しているんです
精神の自由だけは誰にも犯せません

世の中の権力の構造が大きく変わり
そのせいで"Natalie"はどこかへ行ってしまったけれど
君が"Natalie"ではなく"Nataree"になってから
捧げ続けていた2500バーツは、ぼくの一か月の全てでした

チェンマイでの幼少期をよく思い出します
思えば生来、愛情を受け取る事が苦手でした
だから、僕は君が怖かったのです
とても臆病に、愛していました
いつか返事は来るのでしょうか
君を見たのは、2016年が最後でした
何も変わらないでいてほしいと願っています
また一方的に語ってしまいました
獄中の工場から、ずっと君の事を想っています

Quei


■以下、更に余計なメモ群(不要)

センセイ
弁護士の先生
太った顔で、真ピンク色、ボブの髪の毛をしている、黄色いメガネがチャームポイントの変わった弁護士

■参考
映画:ミッドナイト・エクスプレス
書籍:阿Q正伝

■舞台×感情
/ン//の工場とMPと刑務所、税関
惨めさ×恋慕

■その後(ラスサビ)
ナタリーは、クヮイや「この仕事」の事は1年しないくらいで綺麗さっぱり忘れて、貯めた資金で海外留学を始め、異国で新たな人生を始める
※クヮイの書いた手紙はどこぞで破棄され、届かなかった

クヮイは獄中でナタリーの事ばかりを考えている

■結論
①頭でっかちな人文学者は言葉ばかりが達者で幸せになれない
曲学阿世な人たちはいつの時代にもいる

②女性は「時間」をちゃんと味方につけるとマジで強い
→野郎は時間と想い出にかなり弱い